人間関係を良くするために、聞き上手・相談上手になることを目指す。そのためには自分の感情を知ること、それを吟味することも必要です。
その重要性について解説していきます。
ちなみに筆者が解説していくテクニックの中で、今回の解説内容習得が最も難しいのではないかと感じています。
出来るだけわかりやすくお伝えしていきます。
結論:自分の感情に飲み込まれずに会話することが大切
まずは端的に、何が大切なのか。それは、自分の感情に飲み込まれずに会話をすることです。
人と関わり会話をしていると、必ず自分自身の喜怒哀楽といった感情が芽生えます。
それは楽しい気持ちばかりではないですよね。相手の話を不快に思ったり、怒りを覚えることもあるでしょう。
そんな時に、なぜ自分はそのように思っているのか、一度立ち止まってみることが大切です。
その感情が芽生えた理由を吟味しながら、相手に反応を返す。
そうすることで、互いの感情のすれ違いが少なくなり、人間関係がより良く円滑になっていきます。しかし、簡単に言っても実際に活用することは難しいですよね。
ここからは重要である理由をさらに説明しながら、実践するコツをお伝えしていきます。
自分の感情を通した後に伝わる言葉には説得力がある
誰かと会話をしているときに、真剣に聞いていない、気持ちのこもっていない返事をされたと思った経験はありませんか?
例えば、まったく楽しくない場面で「楽しい?」と聞かれ「楽しい」と気を遣って返答しても、案外相手には本心が伝わってしまうものです。
ではなぜ伝わってしまうのでしょう?
まず今例として挙げた会話は、相手がこちらの感情を確認して表出することを助けようとしている時に、それには反応しないよ、と返答している構図です。
より具体的に言えば
苦手だったり楽しくなかったら、言っても大丈夫だよ?
楽しいから大丈夫だよ。
こういった会話です。
この時、自分の感情が理解できていれば、相手への返答もまた変化していきます。
先ほどの例であれば、相手がこちらに感情表出を促したことを理解しつつ、自分の感情が確かに楽しさを感じていない、ただし相手の意図を大切にしたい。
そう考えれば
聞いてくれてありがとう!ここより、向こうの方が楽しそうで行ってみたいな!
といった返答も可能となります。
そしてその変化した言葉は、少なからず相手に説得力をもって伝わるようになります。
一般的には<気遣い>といった言葉で表現されることが多い場面でしょうか。この気遣いを詳しく解説すると、自分の思いを相手が表情などで読み取った可能性がある、それを質問として表現されたことに自分は有難さを感じる、それならば素直に伝えつつ、代替案を伝えよう、といった心理描写が発生しています。
相手の感情、自分の感情をかみ砕いて返答する言葉には思いが乗ります。それにより、説得力が強くなる、より相手に届く言葉に変化します。
会話に反応する時には自分の感情が必ず動く
ここまでの例だけではなく、会話をする時には必ず何かしらの感情が、自分の心が動きます。ここでさらに考えていただきたいことは、自分自身の感受性についてです。
会話における感受性
そもそも、感受性そのものは人により違いが大きいものです。同じ事柄でも感動する人、そうではない人、元気になる人、ならない人・・・
会話の際には自分の感受性がどのようなものなのか、理解していると上手くいく場面が増えていきます。
例えば、感受性の高い人はどうしても相手の感情に引っ張られやすくなります。例えば、同情しやすい、といった言葉の表現が近いですね。
逆に感受性が低く共感しにくい人の場合には、より相手の感情が今どのような状態なのかを理解できるように歩み寄ることが必要になるでしょう。
どちらが良いか悪いかではなく、自分自身を知ったうえで関わることが人間関係を円滑にするコツです。
相手の感情に対して、自分の感情がどう反応したか確認する
では、どうすれば自分の感情を知り、吟味することが出来るようになるでしょうか。
その方法の一つとして、まずは相手の言葉に対して自分がどのように感じたのか、振り返るくせをつけていきましょう。
会話の途中に常に意識していく必要は、最初はありません。これは専門職の領域です。
一日の出来事をどこかで振り返ってみましょう。その時に思い出す会話に対し、自分は何を思ったのか、感じたのかを一人で声に出してみましょう。声に出すことは感情・思考整理を簡単に行う良い方法です。
そして、ここで重要なポイントがあります。それは・・・
なぜそう思ったのか?なぜそう感じたのか?
必ず自問自答してください。そして、その質問を何度か続けて深堀りしてください。
例えば・・・
大丈夫だよ!頑張って!
うん、ありがとう!
(なんだか嫌な気分だ・・・)
↓
(なんで嫌な気分になったんだろう?)
きっと、もう頑張っているのに頑張れって言われたことと、理由もなく大丈夫って言われたからだ
↓
(なんでそれが嫌だったんだろう?)
元々頑張れって言葉が好きじゃないんだ。頑張りすぎてしまう人もいるのにって考えてしまうからだ。昔からいくらスポーツで頑張っても認められなくて頑張れって言われ続けてたから、そう考えるようになったんだ。
こういった思考の繰り返しです。最終的に自分の過去の経験や生い立ちに感情の原因が見つかれば、あなた自身が今後、感情を理解する足掛かりになるでしょう。
相手の感情に「参加」する
次のステップは、相手の感情に参加することです。
具体的には、自分の感情が意識できるようになったら、次は相手の感情に対して、どのように反応するのかを意識して決めることになります。
自分の思いが動いた通りに相手へ返答するのではなく、相手の喜怒哀楽に寄り添った返答を心がける。それが自分の気持ちと違う反応だと思ったら、言い方や返答内容を工夫し、否定しないように返事をする。
これが参加の方法です。
自分の気持ちと相手の気持ちが同じ方向だった時には、しっかり感情表現をして相手に返事をしましょう。
会話だと「その気持ち、その話わかるよ!!」といった返答になることが多いでしょうか。
逆にこちらの気持ちと違えば「あなたはそう思ったんだ、そう感じたんだね」と理解を示すだけでも良いですね。
まとめ:専門用語では“統制された情緒的関与”と呼ばれる
ここまで解説した内容は”バイステックのケースワークの原則“より、統制された情緒的関与と呼ばれる内容を参考に、筆者が会話場面に落とし込んでお伝えしました。
誰かとの会話をする時に、感情を理解しながら話せるようになると衝突を少なくする、会話が心地よくなる、楽しくなるといった効果が生まれます。
皆さんの生活場面でも、少しずつ意識をしてみてください。
そして人間関係が良くなって、家庭や仕事が上手くいき始める。そんな経験を皆さんと出来たらいいなと思います。
皆様の人生の1ページに、少しでも関われたら幸いです。