この記事では、聞き上手・相談上手を目指すときに意識したい“個別化”について説明していきます。
個別化を意識せずに話を聞こうとする、相談しようとすると、自分の知識・経験だけに相手を当てはめてしまうことがあります。その結果、話している人とかみ合わない、かえって反感を買ってしまうことに繋がります。
そうならないよう、共に個別化について学んでいきましょう。
個別化が出来ると何が良くなるのか?
個別化が出来るようになると、一人の人間を尊重して話すこと、聞くことができるようになります。
これは相手に信頼してもらい、人間関係を良くしていくために避けては通れない大切な項目です。
相手が何を考えているのか、気づくための基礎になる
人は誰でも、自分が二人といないことは無意識にわかっています。
だからこそ、相談として話し始めた時には特に、よくある話、人と同じ例、グループに当てはめられて最初から話されると不快に感じる人もいます。せっかく話すのならば、仲良くなるのならば、大切な一人の人間として扱ってほしいですよね。
話している相手は、何を考えていて、その理由は何なのか。話をしている人がどんな人なのか。
それを考えていくと、相手の考えに気付きやすくなります
話している相手が安心しやすい
また、一人の人間として扱われていることが伝わり始めると、あなたと話している人は安心感を覚えます。良い人間関係は、安心感が無ければ成立しませんよね。
安心してくれた相手は、そこで初めて自分の意見や状況を、さらに詳しく話してくれるようになります。
相談上手になるための入り口でもある
まずは聞き上手を目指すことが最初の課題だと筆者は考えています。
そこで個別化をしっかり意識できるようになると、相手に何かを返す段階、つまり相談の段階に入ったときに、相手の気持ちや環境をしっかり考えた会話が出来るようになります。
ここを目指せると、家庭や職場での人間関係が劇的に良くなるはずです。
一人ひとりの考えを大切にできるようになる
個別化を習得すること。
これはつまり、一人ひとりの人が考えていることを大切にすることでもあります。目の前の人が、全く同じ言葉を言っていたとしても、その意味は一人ひとり違っています。
一人ひとりの考えを尊重することが出来るようになると相手もあなたを尊重する存在になってくれるでしょう。
個別化をどうやって習得するか
それでは、どうやって個別化を習得するのか。
そのための考え方を身に着けるのか、解説していきます。
あなたの目の前にいる人は、どこで、どんな人生を送って、今何をしていて、何を話している人で、そこにはどんな環境がありますか?
これが個別化の重要点であると同時に、最も難しいことかもしれません。
相手がどんな状況で声を発しているのか。それを知ることで個別化の基本がつかめます。
個別化の例①
Aさんが「実は母親が入院していてさ」と言ったとします。
詳しく話を聞くと
Aさんは20歳の大学生
母子家庭で育った
母親に学費も頼っていたが、入院をきっかけに学費が払えず
休学して働くことを決意した
母親の闘病もまだまだ長くなりそう
皆さんはAさんが何に困っていると思いますか?
どんな気持ちだと思いますか?
個別化の例②
Bさんが「実は母親が入院していてさ」と言ったとします。
詳しく話を聞くと
Bさんは20歳の大学生
父親は会社経営者、母親は専業主婦
母親の病気は軽症で、数日で退院予定
退院したらレストランで家族とお祝いをするけど、快気祝いは何がいいと思う?と相談された
皆さんはBさんが何に困っていると思いますか?
どんな気持ちだと思いますか?
①と②を比較してみて
AさんとBさん、どちらも同じ20歳の大学生が親の入院について相談をしてきました。
けれど、悩んでいる内容は全く異なりますよね。境遇も違えば、その問題の深刻さも異なります。
これが“個別化”です
同じ言葉、同じ年齢や立場でも、よくよく聞くと全く異なっている。ここを聞くことで、相手を理解することが出来る。
つまり、聞き上手・相談上手になっていくことにつながります。
個人として捉えられることは権利でもある
人がこのように個人として捉えられることは、皆さんが持っている権利でもあります。互いに大切に考えられる人と良い人間関係を作れると、人生が豊かになりそうですね。
あなたが個別化を知っていれば、相手が同じように大切にしてくれる人なのか、価値観に気が付くことも出来るようになりますよ。
個別化のコツは、先入観や思い込みを捨てること
では、個別化を身に着けるコツは何か。
それは、先入観や思い込みで相手に接しないことです。
意識的に捨てていきましょう。
例えば「バナナ」と聞いてあなたが連想する色は何色ですか?
多くの人は黄色と答えるでしょうか。ですが、その「バナナ」は木に実った緑のバナナかもしれません。極端な例ですが、人にも同じことが言えます。
・若いから
・男性だから
・女性だから
・独身だから
・既婚者だから
・無職だから
・おとなしいから
・見た目が派手だから
こういった先入観や偏見が自分にあるのか、あるとしたらその理由は何なのか。考えてみることで、思い込みを捨てた本当の個別化が出来るようになりますよ。
大切なことは、話を聞くことと、話している相手を観ること
では具体的な会話の場面では、どうやって個別化を進めるのか。それは、話を聞くだけではなく、話している相手をよく観ることです。
観察ですね。
表情や身振り手振りを、まずはとにかく見てみましょう。喜んでいるのか、怒っているのか、笑っているのかなど。同じ言葉や話題でも、相手を観ることで気持ちが感じられるようになっていきます。
専門用語では“ノンバーバルコミュニケーション”と呼ばれます。非言語のコミュニケーションという意味です。
観ることを是非意識してください。
相手のペースに合わせること
少し上級編に移ります。
会話をしていると、話が早い人、ゆっくりな人と、それぞれのペースが違うことに気付きます。このペースを、相手に合わせてみてください。
そうすることで相手とのリズムが合ってくる、互いに会話がしやすくなることに気付くことになるでしょう。
個別化に慣れてきたら、相手のペースも個別に捉える。そんな意識をしてみると、さらに人間関係は良くなっていくでしょう。
まとめ
ここまで、個別化について解説してきました。
ちなみに個別化という言葉は、F.P.バイステック著書“ケースワークの原則”より引用しています。私自身、まずは相談専門職の基本バイブルとして読み込んだ本です。
人間関係を良くして人生を豊かにする
そのためにも、是非この個別化を、日常生活の中で意識してみましょう。
私ももっと成長するため、皆さんと一緒に頑張ります。
皆さんの人生の1ページに、何かを残せれば幸いです。