職場や家庭の人間関係を良くしていくためには、良し悪しを自分の感覚だけで判断しないことが大切です。これを、非審判的態度と呼びます。
非審判的態度を意識することで、相手の価値観を考える良いきっかけになります。それにより、新たな気づきや成長していくことも出来ます。
今回は、相手を一方的に非難しない、非審判的態度について掘り下げていきたいと思います。
なぜ相手を非難すべきではないのか、その結論
そもそも、良い人間関係を目指す際、どうして相手を非難してはいけないのでしょう?
相手が明らかに意に反する行動をしていれば、誰しも批判したくなる。批判する必要があるとすら思う。それも正常な思考であると私は思います。
しかし、それを相手に伝えた場合、どんな反応が返ってくるでしょうか?
受け止めてくれるか、そうではないか、想定した相手によって変わるのではないでしょうか。
ここで大切なことは、そもそも相手から見たあなたは、良し悪しの判断をしてくれる相手として認められているでしょうか?
もしそうではないとしたら?
あなたに良し悪しの判断も、批判もされる理由はない!
そんなふうに思われてしまいそうですね。やはり聞き上手や相談上手を目指していくなら、非審判的態度を大切にしていく必要があります。
あなたと話すとき、相手は何を求めているか?
まず、この会話例を見てみましょう。
ちょっと聞いてほしい話があるんだけど!!
もちろん。なんでしょう?
実は昨日、パチンコで〇万円も買ったんだよー。だから飲みに行こうよ!
そもそもギャンブルはどうかと。トータルでそのお金、プラスなの・・・?
もしこんな会話をしたとします。
パチンコで勝ったからお酒の席に誘おうとする人。それに対して、そもそもギャンブルに悪い印象を持つ人が批判的な返答をしてしまう。その結果、せっかくのお誘いだったのに、お互いに気持ちよくない会話となってしまいました。
決して誘った人は、ギャンブルに対する価値観を教えてほしかったわけではないですよね。誘いに対して反応せず、ギャンブルに対して反応して相手を非難してしまう。これでは人間関係が良くなるはずがありません。
極端な例に思えますが、特に家庭内ではよく起こる価値観のすれ違いです。ただ聞いてほしいのか、それとも意見が聞きたいと思っているのか。一方的な非難をしないためには、会話で相手が何を求めているのかに注目することが大切です。
価値観はひとそれぞれ
先ほどの会話にもあった、自分や相手の価値観は互いに違っていることが多くあります。
価値観の合う人との会話はすれ違いも少なく、心地よく感じます。しかし、違った価値観を目にした時、どうしても自分との違いが気になってしまう。内容によっては、相手を否定したくなる気持ちになることも、珍しくないでしょう。
しかし、そんな場面に出会った時には自分が成長するきっかけをもらえる、むしろ有難い相手との出会い、時間だと考えてみましょう。
自分にはない価値観、考えに触れることで
そうか!こんな考え方もあるんだ!
そう思えた人から、人間関係はどんどん良くなっていきます。
判断の基準は人それぞれ違う
価値観が人それぞれであるように、物事の判断基準も人それぞれ違っています。
何かを買うか買わないか、食べるか食べないか、やるかやらないか、日常の些細な行動全ても人それぞれの判断基準に従い、選択、決定しているはずです。
そして、良し悪しの判断も当然、人により違います。あなたにとって良いと思えたことも、相手にとっては良くないこと。その逆も当然あり得ます。
こうあるべきなのに!
そんな考えに相手を当てはめてしまうことは、相手の判断基準を否定することと同じです。
人間関係を良くしていきたいと考えるのであれば、相手には相手の判断基準があることを意識して、認めていきましょう。
価値観や判断基準を知ると、相手の現実(リアル)が見えてくる
ここまでお伝えしてきた価値観や判断基準を知ると、相手がどんな世界で、どんな考え方で生きているのかが見えてきます。
価値観や判断基準は、単純に一つの事柄に対して見つけるものではありません。総合的にどんな考えなのか、どうしてそう考えるのか。それらを知ることで、相手の個性や人柄が見えてきます。
そして、重要なことはその個性・人柄が反映された現実を否定しないこと。つまり、その人の生きている現実そのものを否定するような対応をしてはいけないということです。
その現実に、好き嫌いはあって当然。それを非難する必要はない。
ただし、相手の現実の姿を知ったときに、好きか嫌いかは自分の判断基準として感じることになります。こちらも同じ人間であり、現実の姿があります。嫌いだと思っても、それは悪いことではありません。
しかし、ここで一貫してお伝えしたいことは、嫌いだと感じたとしても、非難する必要はないということです。
非審判的態度とは、相手の良し悪しを自分の価値基準に照らし合わせて判断しないこと。自分が感じたままに表現するのでは、人付き合いは上手くいきません。
人間関係においては批判的な態度をあえてとる必要はないでしょう。
非難しない態度を伝えるためには
ではどうやって、非難していないことを相手に伝えたら良いでしょうか。
もちろん、言葉として非難しないことはとても大切です。ただし、それだけでは自分の感情がマイナスに動いていた時に、どんな言葉を選んだらよいか、難しく感じますよね。
そんな時には、言葉以外のコミュニケーションに注目しましょう。非言語的コミュニケーション、ノンバーバルコミュニケーションと呼ばれます。
雰囲気が大切
あなたは批判的な態度をとる人、と言われたら、どんな表情や立ち姿の人をイメージしますか?
険しい表情、腕組み、仁王立ち、相手を指さすなど・・・。
今イメージした態度を相手にとらない。それだけでも相手に非難されていると思われる可能性を低くできます。出来る限り明るい表情や振る舞いをする。それだけでも、あなたは話しやすいと思われる雰囲気に変わっていくはずです。
まとめ:相手の良し悪しを決める必要はない
相手を一方的に非難しないよう心掛ける。これだけでも人間関係を改善する大切なパーツになります。言葉でいうことは簡単ですが、実際に気を付けて会話をしていくにはトレーニングが必要。そう簡単ではないかもしれません。
心の底から、相手を非難する気持ちを取り除く。これはプロでも難しいと思います。
ですが、意識するのとしないのとでは差が生まれて当然です。
是非一緒に身に着けられるよう、日常生活で少しずつ意識していきましょう。
そして、聞き上手・相談上手になって人間関係を良くしていきましょう。きっと家庭や職場の空気が良くなっていくはずです。
皆さんの人生の1ページに、何か残せたら幸いです。ともに頑張りましょう。